PCMAXで知り合った女性は

2週間ほど前の話になります。
その日はシルバーウィーク真っ只中で、私自身も久しぶりに連休を取れたので、朝から気分が昂揚していました。

それで、新しい出会いを求めて『PCMAX』にアクセスしてみました。
タイトル:思いっきり飲んで騒ぎましょう。

本文:連休で暇している方、連絡下さい!
「ピュア掲示板」の新人検索欄に書き込みをして、連絡を待ちました。

足あとくらいはすぐにつくだろうと、高を括っていたのですが、
小一時間が過ぎても何の連絡もありませんでした。

(今日はダメっぽいな・・)
諦めかけた頃、1人の女性からメールが届きました。

– 初めまして。
– あ、初めまして。今夜は時間ありますか?
– え、あるけれど・・。

何するのぉ?
– 何するのって・・休みだから、一緒に飲んで騒ぎたいなぁ~と思って。
– 一緒に飲んで騒ぐ・・そんなこと面白いの?
– 面白いって・・じゃ、なにしたいの、他に?
– 別に・・。

なにか様子がおかしいのです。

(うつ系?それとも、メンヘラちゃん?)
様々な懸念が頭をよぎりました。
それでも、メールをやり取りするうちに少しは打ち解けることができ、最終的にLINEの交換へ。

裕美という女性のプロフィールは以下の通りでした。

32歳のフリーター。独身。
短大卒業後、保育士として働き出すも、モンスターペアレントの苦情に嫌気がさして、1年で退職。
その後は、フリーターとして、その日暮らしのような生活を送っている。

時間ができれば、出会い系サイトにアクセスし、新しい男性との邂逅を楽しんでいる。

– じゃ、美味しいもの食べてから、何するの?
– だから、何でもいいよ、裕美ちゃんがやりたいことなら・・・
– やりたいことなんかないよ。
– じゃ、なんでこのサイトにアクセスしてるの?
– ただの暇潰しかなぁ~。
– いいや、違うと思うね。誰かと繋がっていたいからだよ、裕美ちゃんが。
– う~ん、分かんないな。そんなこと。
– とにかく、ちょっとでも会わない?
– (長い間があって)東西線の大谷地駅、分かる?その近くに住んでるんだけどぉ。
– 分かるよ。車で行こうか?
– 来てくれるの?
– お安い御用ですよ。ドライブだけでもいいかさ。
– じゃ、出て行くよ(面倒臭そうに)。
– じゃ、今から2時間後に大谷地駅の北洋銀行の前でどう?分かる?
– 知ってるよ、地元だからさ。
– 6時でいいかな?
– いいよ。
– 車は黒のレガシーだから。
– わかったよ。

2時間後、大谷地駅近くの北洋銀行前。
中古のレガシーを道路脇に停めた私は、スマホを助手席に置き、裕美からの連絡を待っていました。
辺りに夜の帳がおりはじめていました。
(ちゃんと来てくれるだろうか?最後のドタキャンだけは勘弁だな。

でも、ちょっと危ないかも・・)

3分後、裕美からLINEにチャットが入りました。

「今、そちらに向かって歩いているよ」
車内から暗くなりかけた四方を見渡すと、前方から大柄な女性がオフホワイトにネイビーのボーダーカットソープルオーバーにカーキのチノパンを合わせたカジュアルな服装で、こちらに向かって歩いてきます。

(スラリとした美人だなぁ。メンヘラちゃんとか思った俺が馬鹿だった・・)

しかし、そんな思いは見事に裏切られました。

口許に不敵な笑みを浮かべながら、助手席のドアを開け、裕美が乗り込んできました。

パフュームの微香が、一瞬にして車内に広がります。

でも、何かがおかしいのです。
裕美の表情や仕草が普通とはちょっと違うのです。
「お待たせぇ~」
「大きいね」
「172あるからね~。もうちょっと低くなりたいよ、目立つから」
「そんなことないよ。恰好いいよ」
「ありがと。お世辞でも嬉しいよ」
会話は一応成り立っていたいました。が、いちいち人の顔を覗き込むような仕草をしたり、目を見開いたまま私の顔を凝視し続けたり・・。

ゾッとするような悪寒が背筋に走ったことも事実でした。

やや男っぽい、ぶっきらぼうな喋り方をする裕美に主導権を握られながら、会話が続きました。

「ところで、今日はどうするの?」
「う~と、まずはドライブしようか?」
「いいけど・・どこドライブするの?」
「どこって・・ドライブしたくないならやめるけど・・」
「・・・」

結局、市内を20、30分ドライブしたところで、裕美から「帰りたい」と呟かれたので、大谷地まで戻って、分かれました。

一体、彼女は何を考えていたのだろうか。
そんな思いだけが、今でも心の中で渦巻いています。